10月イギリスコロナ「地域別警戒システム導入と学校の対応」

10月はイギリスのコロナ史のなかで、3月以降のロックダウンに次いで大きな節目の月になったといえる。再び感染が拡大し続けるなか10月14日には「ローカルCOVID警報レベル」を導入、イングランドの各地域の感染リスクを「ミディアム、ハイ、ベリーハイ」という3段階に分け、感染率に応じた対応をするという警戒システムが始まった。

感染者が多い地域は「ハイ」または「ベリーハイ」とカテゴライズされ感染拡大防止を優先した対策をとる一方、感染率が比較的穏やかな地域は「ミディアム」に分類されて、それまで通り6人までなら屋外内問わず集合してよい「6人ルール」や、パブなどの外食産業の営業が22時まで(通常だと23時まで)とのルールが継続されている。

・地域別対策への市民の反応

「これ以上の感染拡大を防ぐにはイギリス全土で“サーキット・ブレーカー”と呼ばれる短期的で限定的なロックダウンを2週間行うべきだ」との意見もある。けれど、地域ごとに感染率の差がある現在の状況で全土を再びロックダウンするのは公平ではないし、何よりまたロックダウンをした場合の経済損失と人々のメンタルヘルスにこれ以上犠牲を出せない。

社会を回すため、雇用を守るため、必要な経済活動を続けながら命とメンタルヘルスを守るためには、今回導入された「ローカルCOVID警報レベル」は妥当な対応だと受け止められている。

・ロンドンも警戒レベル引き上げ

10月17日からは、それまでは「ミディアム」レベルだった地域でCOVID警報レベルが「ハイ」へと引き上げられることになり(ロンドンも含む)、人々の間に再びロックダウンのときのような緊張感が走った。折しも警報レベルが引き上げられたのがイギリスの学校で「ハーフターム」と呼ばれる1~2週間のお休みに入る直前だったこともあって、「休みになっても友達とは会えない」といった落ち込みや不満の声も相次いだ。

とはいえ、9月に約半年ぶりに学校が再開した時には「とにかく10月のハーフターム(中休憩)まで学校が開き続けますように・・・・・」と祈る思いで毎日を過ごしてきた保護者たちにとっては学校が閉鎖することなく無事にハーフタームを迎えられたことにひとまずほっとしている。

・小学校のコロナ対策

コロナの状態は深刻で不安な日々はまだしばらく続きそうだが、学校は開いていて子どもたちの学ぶ場所が守られていることがせめてもの救いといえる。徹底した安全対策をとってくださっている学校関係者への感謝と敬意も込めて、コロナ過中のイギリスの学校の感染対策を筆者の子どもたちが通う小学校を例にとって一部紹介したい。

・保護者は校内立ち入り禁止

イギリスの小学校では保護者が子どもの送り迎えをしなければならないが、9月の学校再開以降、保護者の校内への立ち入りは一切禁止になっている。

送り迎えのときも親は車から出てはいけない。朝送っていく時には「ドロップオフ」のレーンに車を横付けし子どもだけが降りていく。お迎え時には校内の門をくぐると車の前に子どもの学年と名前を書いたプレートを掲げて、そうするとスタッフの人が子どもを連れてきてくれる。非常にはがゆいやり方だが、親が車から出ることなく人同士のコンタクトを極力減らすことができる。

学年の説明会も保護者個人懇談もすべてオンラインで行われている。

・学年ごとに同じグループで行動

子どもたちは、毎朝登校前に体温を測定。登校後は入り口で手洗いをしてから校舎に入る。一日何十回も手洗いをしているようで、敏感肌のわが子は手荒れ防止に保湿ハンドクリームが必携なほど。毎日洗濯することを優先できるように制服ではなく私服登校も許可された。

子どもたちは学年ごとに「バブル」と呼ばれるグループを組んで、常に同じグループで行動している。校庭の遊ぶ場所もバブルごとに分けられ、食堂もグループ別に時間が区切られている。他学年との交流はできない。朝礼などの全校対象のイベントには、今までのようにスポーツホール(体育館)には集まらず、各教室から参加して、教室のスクリーンに先生方が映し出される。

クロスカントリーのような例年なら全学年で参加するイベントは、行事自体は決行されたが学年ごとに行われた。サッカーやホッキーなどのスポーツも学年別に行い、他校との試合はまだおあずけだ。

これだと、万が一校内で感染者がでたとき全校生徒を隔離せずとも、感染者と接触があった学年グループだけを2週間の自主隔離にすればよいため、被害を最大限に食い止めることができる。ただ、子どもたちにとっては今までとは全く違う学校生活になって戸惑いもあっただろう。それでもこの変化に子どもたちがそれなりに対応し、新しいルールのなかで友達と学ぶことを楽しんでいる姿には心打たれる。

ハーフタームの後、冬休みまでの期間が再びチャレンジになるだろう。でも、子どもたちが新しいルールに柔軟に対応しているように、わたしたち大人も今やるべきことを淡々とやっていきたい。明るい未来を信じて……。

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